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CD鑑賞日誌


by furt-orooro

ブラームス:ドイツ・レクイエム 1948.11.19

ブラームス:ドイツ・レクイエム 1948.11.19_b0056240_125452100.jpgフルトヴェングラー
ストックホルム・フィル、合唱団
1948.11.19
ストックホルムでのライブ

EMI(ELECTROLA)
CZS 25 2321 2

出谷啓氏は、フルトヴェングラーの演奏について、
「(フルトヴェングラーは)またアウフタクトを大切にすると同時に、音楽に生気あるリズムを注入する。音楽の真髄はリズムに始まり、リズムにつきることを雄弁に物語っている。リズムに生気を持たせることにより、ゲサンク・フラーゼ(旋律楽句)をまさにゲサンク(歌)として、自然に再現できるという指揮論を打ち立てた」
と述べている。
その本質は、オーケストラ曲だけではなく、オペラと声楽曲におけるソロとコーラスにおいても余すところなく発揮されている。

当演奏はその顕著な一例。
コーラスのレベルは高く、おそらくリハーサルでフルトヴェングラーに指示されたであろうことを、その通りの、しなやかな流れによる豊かな「歌」としている。
各パートはオーケストラの楽器の一つとして扱われており、オーケストラと見事に融合する。
オーケストラの弦楽器群もウィーン・フィルのように艶やかだ。
第2楽章の弦楽器群の神々しい音色、第7楽章のVnの麗しき高音。よくもここまでの音が出せるものだ。
(クレンペラーとジュリーニのウィーン・フィルとの演奏では弦楽器群が全体に埋もれてしまっているのだが、この演奏でのVnの甘美な高音は神々しい色彩に溢れていてすばらしい。)
第4楽章の清らかな美しさ。第6楽章後半のフーガのすばらしさ。テナーはVcのように、ソプラノはVnのように歌われているではないか。

当CDの音質も、録音年代からすれば、良いものである。ノイズとフォルテでの音割れはあるが、全体としての鑑賞に支障はない。
フルトヴェングラーのこうした録音は決して「音が悪い」訳ではないし、「音が悪いので感動できない」ということもない。

同演異盤CD
1.Music&Arts CD289「アメリカ・フルトヴェングラー協会」仕様
 DENON&Nippon Columbia製 ○
2.東芝 TOCE 6062/63  ☆
3.当盤 ○
4.東芝 TOCE 3797/98 ノイズリダクション強く、荒れた音 ×
5.ARCHIPEL 4+のっぺりした音 ×

同曲異演
クレンペラー(フィルハーモニア盤、ウィーン・フィル盤2005.8.10の記事参照)、
ジュリーニ(ウィーン・フィル)
は、音楽の流れのベクトルが逆方向で流れを阻害している。
シューリヒトは、オーケストラに難がある。
カラヤン(新旧両盤)は流麗であるがダイナミックな変化を避けている。
バレンボイム(CSO)、やりたいことはわかり、オーケストラとコーラスのレベルも高いが、訴えかけてくるものがない。

ということで、当盤は、当曲を語る際に、聴かなければならないCDである。

レビューは、「フルトヴェングラー鑑賞記」より。

ブラームス:ドイツ・レクイエム 1948.11.19_b0056240_17112812.gif
by furt-orooro | 2006-09-15 12:50 | フルトヴェングラー